「精々生き急ぐがいいさ、脆弱にて貪欲な女。お前はそれに手を出すことがどういう意味なのか、理解しているだろう。風の噂じゃお前は聡い女だと、言っていた。」
「失礼ね、女女って。私にはユリアって名前があるのよ?」
「ほーほーそうか、それじゃぁお前には俺の名前が分かるとでも?お前が俺の名前を存じているのならば名前で呼んでやってもかまわないがな。」

「……は?」
・ヴァルツァート・シュタイン。それが貴方の名前でしょう?稀代の譜術士様?」
「……っく、……あははははは!!やーっばい、ちょ、タンマ!腹痛いー!あはは!!」
「…あら?」
「………ふぅ。うん、そうだね、ローレライには最悪と評判の上っ面で喋っても動じない。認めてあげよう、ユリア・ジュエ。未来を見る者。」
「試された、のかしら。」
「そんなところかな。大体、そうでもしないとこんなぐーたらろくでなしのローレライでも力だけは無駄にあるからねぇ…。仕方が無いから俺が代わりに嫌な役を買って出ている、ってところかな。」
「ふふ、仲が良いのね。」
「良くは、無い。……言っておくけれども、ユリア。コイツも俺に負けず劣らずの上っ面最悪だからね、気をつけないと胃に、多大なるストレスが…ってぇ!痛い痛い、体内締め付けるな!無言で厭味ったらしく攻撃をしないでくれるかなローレライ!」
「うーん、とりあえず私は認められたみたいだから、全世界の期待を大いに背負って、そのローレライさんと契約を結んだりしてみても、いいのかしら?」
「いい、んじゃないかな。俺も噂に聞く大譜歌とやらを聞いてみたいかもしれないな。」
「それじゃぁとびきり気合を入れて歌わせて頂くわね。」
「お手柔らかに?…ほら、ローレライ、いい加減ユリアの前に出てきてもいいんじゃないかな。大体言いだしっぺはお前だぞ、試すんだーとか、何とか。」
「……よろしいかしら。」
「…うーん、多分そのうち根をあげてくれると思うけれどね…こいつもコイツで噂に聞くユリア・ジュエの歌声は期待していたみたいだし。」
「それでは、ローレライ、貴方との契約を、結びに来ました。お気に召すかは知らないけれど、これだけは自信があるの。私の大譜歌で契約の受諾を、定めてくださいまし?」


風がそよぐその場所。
影はふたつ、気配はみっつ。
歌声は奇跡の如く響き渡り、そうして世界は変革を一人の女性に託し。
荷う女性は稀代の譜術士とそして音素と契約を結んだ。




はじまりの歌声断罪の予兆。
捏造パラノイア。

 

 

 

 

(男主夢だと限りなく友情夢くさいシリアスを踏み込んで書けるから気軽でいい。あわよくばBLラインを狙うべきなのか未だによくわからないけれども、まぁ、俺は、友情方面に傾きがちの仲良しすぎじゃない?ってのが書きたいです。そんな訳で、俺設定及び捏造丸出しのアビスシリーズ夢です。主人公、名前部分のみ変換です。固定でごめんなさーい…。)(060625)