>>世界を捻じ曲げることがたったふたりぶんの腕でできるなんて思ってないよ。

 

(ゲーム話ばかりのブログで散らかしたルーク及びアッシュEDから逆行ネタです)


目が醒めたら俺は黒い。
否、正確に言うならばそれは周りの景色と服の話だったけれども。
「………乖離、したんじゃ……あれ?失敗…?」
ぽかん、と予想できそうなくらい間抜な顔をしているだろう。あぁこんな顔を見られたらジェイドにますます阿保になりますよとかガイに笑われたりティアがふふと笑ってそんでもってナタリアが王族がどうのこうのとかアニスが馬鹿だねとか。
ごちゃごちゃと考え込んでひと段落すればそこがやけに見覚えのある場所だということに気がついた。
「セレニアの、花…?」
足元をざわざわと揺らすのは間違いなく「魔界で唯一咲く花」だといわれていたセレニアの花だろう。
それではここは何処だ?ユリアシティ?
如何して俺はユリアシティにいるのだろう、ローレライ、ヴァン、エルドラント、約束。
此れは、どういうことだろうか。都合よくローレライは俺の肉体を作り直して決意の場所に飛ばしたというのだろうか?
「…アッシュ?そこにいたの?大佐がこれからのことも含めて話があるって…」
「……ティア…?」
あぁ、なんてことだろう。
どこかで俺は間違いでも犯しただろうか。ローレライ、なぁおいこれは何の罰ゲームですか。
「…えーっと……わ、わかった。」
ならいいわと言って顔を出していたティアの部屋に繋がる扉を閉める。
深呼吸をしてから改めて服をみればやはり嫌な予感どおりに服はアッシュのものだった。
何故アッシュ。如何してアッシュ。俺はアッシュと一つになったのに、何故今更こんな服を。
「此処、もしかして…」
急ぎ足どころではなくもはや全力疾走でティアの部屋へと走る。そこに居るのは、居るのは―――




「……お、れ…………」
少しだけ眉を顰めて眠るルーク・フォン・ファブレの横にみゅうみゅうと妙な寝息を立てて丸くなるチーグル。


あぁもう、なんだこれ。

(こんな話を考えていた)

 

 

 

>>おれがおれでおまえがおれで。

 


(逆行案そのに。二重人格っぽいの。細かいところは都合よく捏造!(うわぁ…))




"驚嘆に値する――・・"



「………とか言ったくせに…。」
もぞもぞと久方ぶりの自分の部屋の広いベッドの感触で目は醒めた。
『そもそもなんでこんな状況になってやがる…』
「俺も知らねぇよー…なんかやるせない。なぁアッシュ、やっぱりこれ、明らかに時間が撒き戻ってないか?俺の髪、まだ長いんだけど。」
今となっては少々うざったい長く伸ばされた髪(切るのが面倒だったのと、ガイが綺麗だから伸ばしておけば、なんて言ったからそのままだった)を手でいじりながら、頭痛もなく響く声にひっそりと応えてみる。

てっきりひとつになっちゃった俺とアッシュ(恐らくアッシュになるのだろうが)はもとのルークに戻ってティアやガイやジェイドにアニスにナタリアに会ってあぁよかったーと暮らせると信じていたのに。
なのにこれはなんだろうか。
目が醒めて真っ先に聞いた声は『オイ屑!!起きろ!起きやがれこのルークが!!』と珍しく動揺したようなアッシュの声。
その事実に飛び上がるように「うわぁ!」と起き上がってきょろきょろと見渡して首を傾げて。
推測だが、と前置きをしてからのアッシュの話。そして日記に書かれた日付を見て半ば核心に移されたその事実。
「さすがアッシュ…17歳ってすっげーな…」
『逃避すんじゃねぇ。どうやら俺はあの時すでに死んでいたからな、ローレライはお前に取り込む程度しかしてはくれなかったらしい。お前が動け。俺がどうにかしてやる、仕方が無いからな。』
「あのー、一応この場合行動権とか主導権とか俺にあると思うんだけど…」
『うるせえ7歳児が!』


「どうしたルークー?」なんて懐かしいようなそんな感じになるガイの窓際からの声が聞こえるまで散々喚いてとりあえずは今までと同じことを辿ることにした。
「ここで、師匠をティアが倒してくれるといいけどな。」
『無理に決まってんだろうが、この屑。』
やっぱ無理か、と溜息をついた。

(どうにもルークとアッシュが逆行したうろたえようが表せない。なんかすんなり受け入れているあたりおかしいよな、と自分でも思います。)

 

 

 

>> 求めすぎる世界とそれを厭わない少年。

 

「…なぁ、みんなは、さ。どんな世界がいいんだ?」
「そりゃお前、ちゃんと此処に居る俺達全員が揃ってて…」
「そして、笑顔の沢山ある世界ですわよね。」
「それから…そうね、争いもなくて。」
「誰かの為に誰かが居なくなったりなんて、しなくて。」
「夢のまた夢ですけどね。まぁ、生きていればいいんじゃないですか?私たちが。」
「そ、…っか。そうだよ、な。それってでも、幸せすぎて、怖いくらいだ。」



そびえ立つ暗く高き過去の塔は全てを見ていた。

 

(レムの塔2回目あたり、かなぁ…。それ以降ならば何時でもいいって感じです。)(ルークがここらへん本当かわいそうでというかなんかもう、泣きっぱなしだったな…)

 

 

 

>>ちいさすぎるてのひらのうえで。

 

たったふたつの、ちっぽけで無力でどうしようもない腕で何ができるだろう。

例えば。
剣を握り、魔物を倒すこと。
己に逆らう物を、威嚇すること。

それじゃぁこの腕は、人を脅かしそうして殺す以外のことは、できないのだろうか。
以前、迷った時になぜ戦えるのかを聞いて回った。愚かな、自分が。
でももう、そんなことはできない。
掌だけじゃなく、腕ごと、真っ赤に、染まってしまった。




「ルーク?」
「…いっ………イオン!?おまっ…何してんだ!?」
「いえ、目が醒めたら、ルークがいなかったので…」
「あーもー…危ねぇだろ、アニスも、心配するだろうし。」
「ルークは、如何したんですか?見張りにしてはなんといいますか…こう、思いつめた、ような。」
「あ、うん……俺。俺の手は、殺すことしか、出来ないな…って。」
「…そう、ですか?」
「そうだよ。俺の、この掌が。この腕が、アクゼリュスを滅ぼして。…おなじにんげんを、殺して。何も救えない…。殺して血を浴びるしか…」
「そんなこともないです。」
「え?」
「だって、ルーク。」





だって貴方は僕を何時も何時も救ってくれる。

 

(イオルクも好き)

 

 

 

>>緑色の粒子が天に昇るのをしっかりと見つめた。だから貴方の嘆きも見えてしまった。

 


じくじくと肉が焼けるように痛むわけでもなく、それは苦痛を伴う物ではなかった。
それでも直ぐ傍で涙を零しそうな顔を見れば心がずくりと痛むけれど。


口はもうきけない。
導はもう示せない。
それでも、それでも。




僕は貴方の道をたすけたい。

(イオルクで、イオン様の意識がしばらくこっちに残っていたらすごく痛くて苦しいんだろうな、とか思って)