助けて助けて あの人は何が言いたかったのでしょうか あの人は何を伝えたかったのでしょうか あの人は何を託したかったのでしょうか あの人は何を理解していたのでしょうか 助けて助けて 誰に聞けばいいのでしょうか 誰に縋ればいいのでしょうか 誰に 誰に 「 兄 さ ん 」 呟いた言葉が無機質な空洞の赤に反動する。 流れ出る夥しい血液は どうしてだろう 敵だったのに今ではこんなに近かった どうしてだろう こんなに哀しい。 己には無いもの。求める物。朽ち果てぬ体で望むもの。 助けて 兄さん。 ―――けれど声が届くはずは無い。 縋りたくても届くはずが無い。 頼りたくとも今はそんなことは出来ない。 あぁ、ごめんなさい。 何も出来ない僕で。 弱くてちっぽけな心で。 逆らうことなどできないで。 只泣くことの出来ぬ体で心の慟哭を震えさせているだけで。 ごめんなさい 助けられなくて。(鋼の錬金術師)
貴方を作り出したことが僕等の罪であるのならば貴方の罪はなんでしょう。 貴方が罪も無い命を残虐に奪って行く事が罪であるのならば僕らの罪はちっぽけなものなのでしょうか。 大きすぎる罪を背負うこと出来ないから 僕等は重すぎる十字架を何度も何度も休みながら運んでゆこう。 何処などわからない。 行き先など決めていない。 けれど我武者羅に進んでゆこう。 崩れた足場なら慎重に。 けれどけして十字架の重さを忘れずに。 ほら前を見れば懐かしい笑顔。 けれどソレはけして許されることの無い声色。 ねぇ呼ばないで。誘わないで。 弱った心は引き裂かれそうな痛みの受け皿を探しているから。 お願いだから取り込まないで。 貴方自身が罪であること、僕等に忘れさせないで。 貴方の眼差しも声色も髪の毛の色も全部皆全て僕等が欲していた物だから。 偽者がその毛皮を被るようにして僕等を呼ばないで。 狂気でどうにかなりそうだから。 あぁどうしたら救われる? 十字架の荷は何時浄化されるだろうか。 そして僕等はまた一つ罪を背負う。(鋼の錬金術師)
ばちばちと赤い光が見える。 見えるのは あの…門? 僕等の飲み込まれた先。 見えてしまう。 駄目だ。 本当は突き放したくなんか無い。本当の兄弟。最後の家族。 けれど傍に居ることさえもが苦痛と為ると云うのならば 僕は君を崖から突き落としてでも離れてやろう。 其れによって此の心が幾ら傷ついても構わない。 だからどうか君を救いたい。 対なる心。 痛いと叫ぶ。 君との近い距離。遠すぎる感覚。 よらないで。 声を発すれば痛みは増して。 それでも 痛みを隠してこのまますすもう。 さぁ僕等は追われる身。 (鋼の錬金術師)
泣かないで泣かないで。 私は空高く、羽ばたく事ができたの 貴方たちから雨が降り止まぬのなら 遥か高い処から 私は凛と包むから。 さよならじゃないよ。 約束だもの。 私は愛しいあの人の為に守ったのだから。 だからお願い泣かないで。 哀しくなんて、無いから。 私は此れで、満足だから。 だからお願い貴方は此処へ来ては いけないわ。 一騎くん、 (蒼穹のファフナー)
何もかもをかなぐり捨てて歩み始めてみれば 僕に動かすことが出来たのはたった一つの強大な力だけ。 やっとすれ違いもなくなって着ていたのにソレを壊したのは 一体どっちだった? 逢いたいと思う。 けれど逢いたくなんて無い。 怖いから。 (蒼穹のファフナー)