あの日見た夕暮れを忘れたくないのに君の思い出は世界から風化してく。 (オリジナル)
すべてをしりえたかれのきずをすべていやすことはできなかった 「酷いと思うんだ。」 「何で勝手に、居なくなるんだよ。」 「…お前のせいで、泣いちゃったじゃないか。」 「腕、もげたし。」 「整備の人、大変なのにさ。」 「お前、いろんな人に心配かけてるんだぞ。」 「妹、大切にしろよ。」 「じゃないとまたお面、被せるぞ。」 「…返事しろ。」 「………なぁ…!」 「総士………ッ…!!!」 かれはいま、どこにいるのですか? かみさまがいるのであるのならば、おれはそれだけがしりたくてたまらない。 (蒼穹のファフナー)
「ピアニストーっ!お前、名前…何ーっ?」 手を伸ばしても届かないところまで言って、そいつは改めて声を張り上げて名前の分からぬ者を呼ぶ。 「……総士…皆城、総士だ!!」 他人と口を利くのさえもが何時振りだろうか、わからない。 いつもならとてもとても嫌な作業。面倒くさいとすら、思った。 なのに先程の歌声に、多分酔いしれたんだろう。声は意識する前に出てきた。 「総士…、総士!俺、お前のピアノ…嫌いじゃないー!!」 「…どっちだよ…っ!?」 勢いよく投げられたほんの少し厚手の紙。紙飛行機。 ――書かれていたのは、明日の日付と時間と、名の知らぬ場所。 「それ、来いよ!?絶対だぞー!!!」 「ってあ…ちょっ……!?」 そのまま、黒い髪を靡かせて。 声に酔わされたまま。 困惑の張本人は、軽々と走り去って行った。 最期に小さく手を振って。 (蒼穹のファフナー/パラレル)
聴こえるようで聴こえなかった。 小さな、声。 多分あれは、タスケテと、儚く叫ぶ声。 「……総士、結局お前、何がしたかったんだ…?」 「何……?」 「…俺、お前が不器用だよって自分で言ってるようにしか見えないんだよ…。」 「不器用などではない。」 「………」 「……遠見に、言われたんだ。約束だったから…な。」 「遠見?」 ――ふと、思い出した。 彼女が、飲み込まれたザインからもう一度生まれた俺に、涙を流しながら、言った言葉。 とても綺麗な涙を、流しながら。彼女は何時だって周囲に気を使っていたのだから。 「……俺達、すごい迷惑かけてるよな…。」 「…一騎…?」 「遠見、多分同じこと、俺にも言ったよ。」 「…………そうか。」 少しだけ微笑む顔。 声は、今なら聞こえる。 手を伸ばせば、今、何時でも救える。 何時でも共有できる。 隣に、大切な人がいた。 (蒼穹のファフナー)
暗鬱とした空気。 混沌の空。 真壁一騎という人間には、蒼穹はそう、見えたのだった。 俺は此処で目醒める。 彼は此処に居ない。 それでも、瞳を割らなければいけない。 じゃないと真実なんてわからない。 しろいへやでさめたゆめはぼんやりとかれのげんけいをうつしていたことをわすれない (蒼穹のファフナー)