>>自殺を図る。復讐の目的が。親友が。俺はそれが許せなくて、それから哀しかった。
「それが答えか。」
低い、声。まどろむ意識に浸透するような、そんな。
「それがお前の出した結果か。」
ざくりと、抉った音。
心なしかいつもの仮面も見当たらないような彼は、そう言った。
大丈夫か、とか。生きてんのか、とか。そんないたわるような一言もないのは何時ものことだけど。
だけどいつもと違う。
違うのは。
「...しゃーなだろ。成り行き、上だって。」
「俺はお前を治したい。」
「勝手にすればいいだろ。何?許可が要るの?」
「…知らん。」
「じゃぁ聞かないでくれるかなぁ…正直こーやって一言発するだけで結構痛いんだけど…っつーか、血塗れ?」
「笑う…な、馬鹿が。」
突きつけられた現実から逃げたいと思う。
けれど治したいと。俺を殺す訳にはいかないと。言う。
「お前は俺が殺すんだ!」
復讐者である親友は、そう言って俺を抱えて走る。
走る途中で、泣いていた。
それは哀しみから来る物なのか、霞む意識が考えることを拒絶してわからなかったけど。
あぁ、彼の復讐の定義やらはどうしたんだろうと、ふっと、笑えた。
(オリジナル)
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