>>猟奇的誘拐殺人犯的考査

 

「あなたはなにがしたかったの?」
幼い問い掛けに僕が頷いて。何も知らないような眸で此方を向いて。
「わからない。」
「わからないの?」
「僕は僕で居たかっただけだ。僕は僕で在りたかっただけだ。僕は僕自身の存在を知りたかっただけだ。」

振り上げた狂気も。
握り締めた凶器も。

「だったら、」

幼い返答を書き消すように、僕は鮮血を浴びた。


「………僕は、」
呟きも一緒に流れて排水溝に呑まれて行った。
(オリジナル)

 

 

 

>>if story

 

「えーっと…なぁアル、あの大佐震えてないか…?」
「うん…なんかふるふるしてるよね、心なしか。」
「聴こえてるぞ兄弟ー!!!!震えてなどおらんわ!!!」
「無理してる無理してる。」
「たーいさぁー!!足ががくがくしてますよーーー!?」
「何ィ!?」

(鋼の錬金術師)

 

 

 

>>純粋狂気と偏屈死気。

 

「俺さぁ…つくづく疑問なんだよねー。」
「何が?」
「…ソーセージって腸詰じゃん。」
「あぁ。」
「じゃぁさ、俺等の腸やってもソーセージな訳?」
「…じゃないのか?(そんなことかよ…)」
「あ、今物凄い呆れてるだろ、秦羅。」
「呆れてない。俺はただ無心に空を眺めているんだ。」
「同じだって…。」
(オリジナル)

 

 

 

>>自殺を図る。復讐の目的が。親友が。俺はそれが許せなくて、それから哀しかった。

 

「それが答えか。」

低い、声。まどろむ意識に浸透するような、そんな。
「それがお前の出した結果か。」


ざくりと、抉った音。
心なしかいつもの仮面も見当たらないような彼は、そう言った。
大丈夫か、とか。生きてんのか、とか。そんないたわるような一言もないのは何時ものことだけど。
だけどいつもと違う。

違うのは。

「...しゃーなだろ。成り行き、上だって。」
「俺はお前を治したい。」
「勝手にすればいいだろ。何?許可が要るの?」
「…知らん。」
「じゃぁ聞かないでくれるかなぁ…正直こーやって一言発するだけで結構痛いんだけど…っつーか、血塗れ?」
「笑う…な、馬鹿が。」


突きつけられた現実から逃げたいと思う。
けれど治したいと。俺を殺す訳にはいかないと。言う。



「お前は俺が殺すんだ!」
復讐者である親友は、そう言って俺を抱えて走る。
走る途中で、泣いていた。



それは哀しみから来る物なのか、霞む意識が考えることを拒絶してわからなかったけど。
あぁ、彼の復讐の定義やらはどうしたんだろうと、ふっと、笑えた。

(オリジナル)

 

 

 

>>障壁を越えた先。

 



「お前が、殺した。」
「ん、そうだね。」
さも当然の様に。
奴は首を縦に振る。

「俺にとっては仕方なかった。お前にとっては?」
「許せない。お前じゃなかったら今すぐ殺している。」
「……別におもいっくそ本気で対抗するから殺そうとしてもいいんだけど、ね…」
「…嘘をつけ。お前はお前の目的を果たしていないだろう。」
憎悪。
どろどろとした黒くて生暖かい感情が蛇が這うように心を支配する。
本人を目の前にしてどうにかなってしまいそうな自分が怖くてたまらなかったけれど。
それは杞憂。

たったひとりの親友を、俺が殺せる訳が無い。
そんなに、ちゃんとした人間じゃない。脆い脆い、世界の破片。

「俺の結果は…ね、何となく見えてるんだよ?」
「確かめなければ解らない。」
「そうだね。そうなんだよ。だけど俺はそれが怖くて今こうして、何もしてないの。あんだーすたん?」
「…癪に障る。」
「あっはは、悪い悪い。許してねー。」
きろ、と睨んでも動揺することも無く、ただ目の前の酒を喉に通す。
「…未成年飲酒…。」
「硬いぞ。大体俺がこーなってんのはいつものことでしょ?」
「…殺して、如何して平然としていられる…?」
「…馬鹿かよ、そんな質問。」





「脱走する前、俺等、そのくらい当然だったろ?」






――抉られたのは。
(オリジナル。↑の続き。)