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>>切削魂。
「ねぇ、頼むから。」
唐突に言い出した。
「頼むから、さぁ。ねぇしょーちゃん。」
唐突に喋りだした。
床に伏せった末期患者のような、死にそうな顔をしたまま。
窓辺に腰掛けて此方を向いて。
麗らかな春の陽をその背に浴びながら。
靡くカーテンなんか目もくれず、目は伏せたまま。
「俺を、其の手で、殺してよ。」
「何時になったら、殺してくれるの?」
「何時になったら、俺は死ねるの?」
ぽつ
ぽつ
ぽつ、と。
繰り返した。
「ねぇ、殺してよ。」
「嫌、だな。」
「精々生きて、苦しめ。大馬鹿者。」
そんな顔をするななんて気の効いた言葉を吐く術を知らないから。
泣きそうな己を叱咤して。
「精々、俺と脱出したことでも悔やんでいろ、斑目樋築。」
「―――そうだね、しょーちゃん。」
(オリジナル)
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