きらきら、きらきら。
まぶしいほしはきらめいてしんでゆく。
居なくなった。世界は彼をそうして英雄へと奉りあげ一雫程度の罪悪感を水で薄めるように誤魔化した。
度々カップを掴み、話をしながら夜を明かした。
ルークの話。ナタリアとガイと過ごした話。私の話。壮麗たる宮殿での日々の話。尽きることはなく闇に飲まれそうなルークはそうして眠らない。
「星の話は、しましたか?」
「星?星にもなんかあるのか?」
「ロマンチストに見えてもそうでもないものなんですか…まあ、ルークの教育係は偏執狂だからね」
「んー…」
「それじゃ星の話。シャドウリ・デーカン・7の日。誰かが言い出した話。」
悲しい恋の話に、幼い子供のよう、ルークは耳を傾ける。
あるひとは言うだろう、そんなものはただの御伽噺に過ぎないものなのだから信じて祈っても無駄なのだと。
けれどそれと同じように大切なひととの別れを悲しむひとなんてこの世界には山ほどいる。
ならばそんな夢みたいな話を、僅かに信じてみたって罪も罰もないだろう。
「ふーん…じゃ、その日はその2人が、空の上で年に一度だけ会える…ってことか?」
「まぁ、そういうところです。私も最初は…ちょっと疑ってましたけどね、小さい頃に刷り込まれちゃった。」
「刷り…?」
「どこぞの妹さん、ね。あの子、小さい頃何度か逢うたびにこんな話をしてくれるんです。だからなんだか、こう。」
「ふーん。……悲しくないのかな、そんな、会えないって。」
幼い子供は疑うことを知らずに、鵜呑みする。それは綺麗なことで、眩しい。
ルークの中では御伽話にすぎないソレも、本当にあったかもしれない話として成り立ち、ある男女は架空の中で逢瀬を望んでいるのかもしれない。
「会えないことが悲しい、なんてことはないわね。」
「どう、して?」
「だって、考えて御覧なさいルーク。
会えないと言えるということは、会いたいと思う人はこの星のどこかで生きているということよ。
だから今会えなくとも、きっと何時かは会えるでしょう?会いたくとも会えなくて翻弄すれば、きっと何時か会える、そういうことに、なるでしょう?」
星の話をして。惑星の話や古き埋れかけた世界の話。実に様々な話を飽きることなく時々した。
そして話を終えるたび、ルークは決まってこういうのだ。
「はジェイドみたいになんでも知ってるけれどジェイドと違って沢山のことを話してくれるよな。」
「うーん、でも私、話すことはあの人ほど上手じゃないです、よね。」
「そんなことないって。俺、の話、よくわかる。だから、またしてくれよな。俺もまた話すから!」
約束と言って、毎度毎度笑顔を向ける。
そして、向けられた笑顔は、約束は、まだ継続しているのだ。
「早く帰ってこないと、話もなにもできませんし。
なにより貴方が居ないとみんな変われない。」
きらきら、きらきら。
煌めく星の何処かで足でもぶらつかせてるであろう、ルークの姿を、私も望む。
はやく、話をしましょう?
正直な話、そこのとこどうなんですか。
(で、いつごろどこにどうやってどんな格好でひょっこり現れてくれるのか、さっさと一報くれませんか。ね、ルーク?)
(「眠れぬ夜に〜」と微妙に繋がりがあったりする話でした。テスト勉強中に浮んだ。七夕=星(もしくは、届かない)=直ぐに死ぬ=悲恋系パターンという連想ゲームを続けていったらこんな話ができた。基本的にこの話のヒロイン、ルークを恋愛対象ではなく単に可愛い生き物だな、みたいな感じでみてます。弟にしてみたい、とか考えていたりする。…そう考えるとこう、ココア与えて話をしているのはあれか?餌付け?(笑))(060707)
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