パーシアン・レッドの髪。瞳の色、色素が少し抜けたような茶色。歩く度に揺れる少しだけ眺めのアシンメトリーウルフが靡いて、少年が立ち止まる。

「……あぁ、戮。如何したの?」

森のように群れて冷たく佇む狭間で、移る姿に少年――陵 江夜は優しく微笑した。

 

背後に静かに静かに立った少年とショーウィンドウに視線を向けたままの江夜の顔が全く同じだからといってそれを気にする物は全く居ない。それよりも急ぎ足の者共は全くといっていいほど、気づかなかった。気付けなかった。
「いーや別に。何でもないさ。」
「そう…?」
「っていうかお前、何してんだ?妙な人間に見える。何処行くつもり。」
「…解らない。学校、あんまり行きたくないから。仕事まで、うろうろしようかと思ったんだけど…戮と逢っちゃったからな、やめた。」
「何だそれ…俺はなんなんだよ。お邪魔虫かあ?」
「あはは、違うよ。単に付いていこうと思っただけ。で、何処行くの?」
「………う、うろうろ…する?」
「……………そう、だね…(所詮、思考回路は同じ、か…)」
双子は双子。

――――所詮、双子だった。