「………うあぁー。でろっとしてるー、ほんとにでろっとしてるー…」
日付も越えて、深夜2時。仕事を終えて2人で片方の傷口を確認しながら無事帰宅したのはそんな時間。
扉を開けるなり、双子片割れ(厳密に言えば陵江夜)がソファーにタオルを敷いてごろりと寝転がった体制、その上から興味深々の餓鬼臭い表情のまま、ミシン糸を通した針(消毒済み。炙った縫い針厚地用、長針。)を片手で握り。陵戮は片割れの小腸に魅入っていた。
「…あのさぁちょっと、戮。こんな事言える立場じゃあんまり無いんだけどねぇ、……小腸引っ張って遊んでないで早く傷口縫ってよ」
「あぁ、ワリ、ちょっと楽しいんだってこれ…お前、すごいぞマジで。腸ってぷりぷりしてんだな…今度俺も腸のあたり狙って撃つかな。そしたら出てくる。」
「どれだけ残虐なの。ていうかそろそろやめてよ、気持悪いんだってそれ…!」
「おう、じゃ縫うぞ江夜。お前の言葉を借りれば俺は残虐らしいからな!麻酔なんかやってやらないからな!うっひっひ、ざまーみやがれ!」
「何がざまーみやがれなのか全く持って理解できないんだけどまぁいいからさ、早く縫って。」
「……………おう。…本当に俺はミシン糸で行くから…なっ!」
ぷつんと、本当に僅かな音を立てて。少しだけ怒ったような雰囲気の江夜に、少しだけびくびくしながら。
修繕作業、言い直してみれば、只の縫合を素人は始めた。
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